LECO Japan

におい・香り分析について

作成者: Tim Dawson|2020年10月296日

におい・香り分析へのアプローチ

におい・香りの分析には、ヒトの嗅覚による官能評価と、装置を使用してにおい成分を調べる機器分析法があります。におい物質は約40万種あるといわれており、それらは単独臭と複合臭でにおいの質が大きく変わるため、においの原因を特定することは困難といわれています。また、人間の嗅覚は非常に鋭く、そのにおいを検知できる濃度を検知しきい値といいます。しきい値は成分ごとに異なり、およそppm~ppbレベルですが、なかにはpptレベルのものも存在します。

におい・香り分析に使用される分析手法の例

 

上記のような理由により、従来のターゲット分析(特定の化合物を測定する方法)ではにおいの原因を特定することが困難であり、におい成分を網羅的に把握するノンターゲット分析が有用であると考えられます。さらに、ノンターゲット分析を行うにあたって、複雑な混合物中のさまざまな成分を簡便に分離できること、極微量成分を検出可能なことが重要です。

LECOの装置が選ばれる理由

 

LECOではPegasus BT® GC-TOFMSおよびPegasus® BT 4D GCxGC-TOFMSを用いたにおいおよび香り成分のノンターゲット分析手法を提案しております。

高感度フルスペクトル取り込みにより、複雑なサンプル中の微量成分の検出が可能です。
また、独自のデコンボリューションとGCxGCによる高い分離能により、複雑な試料中の成分を容易に分離できます。

また、メンテナンスフリーのイオンソースを備えており、イオンソース洗浄に関わるダウンタイムがなく、より多くのサンプル分析が可能です。

 

LECOオリジナルの統計比較ツール

においおよび香りの分析では非常に多くの成分が検出されることが多く、多数のサンプルを比較する場合(例:良品・異臭品の比較、食品の産地による比較等)、ひとつひとつの成分を比較するには膨大な作業時間が必要です。

LECOの統計比較ツールStatistical Compareによりデータアライメントを行い、多変量解析ソフトを組み合わせて解析を行うことにより、膨大な成分の中から差の原因となっている化合物を簡単に絞り込むことが可能です。

 

さまざまな前処理手法

においおよび香りのサンプルの形状や濃度はさまざまであり、目的に応じた前処理手法の選択が重要です。
LECOのPegasus BTシリーズはさまざまな前処理手法と組み合わせることが可能です。

  食品・飲料等の香り フレグランス・
香料等の香り
空間のにおい
(家・車等)
製品のにおい
(容器・包装等)
液体注入
(SAFE、希釈後直接注入等)
   
SPME
(固相マイクロ抽出)
 
捕集剤
(加熱脱離チューブ等)
+加熱脱離装置
   

 

シリカモノリス捕集剤を用いて捕集した生活空間のにおいのGC-TOFMSによる分析例

家の中のさまざまなにおい(リビング、ごみ箱、洗濯槽内)をMonoTrap(GLサイエンス)により捕集し、分析しました。家族構成や生活習慣の異なる4家庭の室内のにおいを網羅的に分析し、居住環境の差異が臭気成分の種類や構成に影響を与えるのか、共通する部分と異なる部分に着目しながら検証を試みました。

生活の中のさまざまなにおいの分析

 

SPMEを用いて捕集した桂皮の揮発性成分のGCxGC-TOFMSによる分析例

漢方薬は複数の生薬の組み合わせで構成されており、原料生薬の品質を把握することは漢方薬および漢方製剤の品質を確保するために重要であると考えられます。
SPMEを用いて捕集した産地および部位の異なる桂皮類の揮発性成分を網羅的に分析することにより、産地や部位に特徴的な成分を明かにすることを試みました。

GCMSによる産地および部位の異なる桂皮類の揮発性成分の分析